英語教育よもやま話

英語教育関連の情報提供を通じ、相互交流できればと思います。

小学校英語必修化へ(1)

'06.3月に中央教育審議会の外国語専門部会が、小学校からの英語必修化に関して報告をまとめた。これを受けて文科省も2006年度中に学習指導要領改訂を行い、小学校のカリキュラム導入を図ることに。小学5年生から週1時間程度の授業実施。但し、「教科」ではなく「領域」か「総合的な学習の時間」の中に位置付け、通知表での数値評価を行わない方向のようだ。また実際に導入されるのは、4〜5年先との見通しが報じられている。

●コメント
ようやく方向性がまとまったようだ。必修化は、アジア各国の導入状況や国内の保護者、産業界のニーズに合致した方向性であるといえる。成績の数値評価については、慎重な動きであるが、指導目標や内容が全国一律に示されるようになることは、大きな転換といえるだろう。
 先の文科省の調査では、'05年度の公立小学校での英語活動の実施率は、93.6%でとなり小1から実施している学校は75.1%となっている。また教育特区での英語実施校数の増加も合わせてみると、今回の報告は当然の方向性といえる。

●国語力優先論ブーム
 しかし、一方で国語力(日本語力)優先論も盛んに言われ、英語よりまず日本語という論調も少なからず聞こえてくる。中教審の中でも未だこうした意見があがるそうだが、英語指導により日本語指導がおそろかになるという危惧はおかしい。当然、日本語教育は大切であり、いかに日本語力を向上させる指導を図るかは大いに研究、実践されるべきことである。しかし、英語指導と対立するものではない。それどころか、言葉のもつ背景の違いも含めてより深い理解が期待できる。英語学習も一昔前の盲目的とも言える米国文化一辺倒のような英語学習とは、大きく変化してきており、比較文化的な発想や、自国文化発信としての英語、アジアでの共通理解語としての英語、などといった視点で英語学習が捉えられてきている。

●ゆとり教育的としてのメリット
 「日本を滅ぼす教育論議」(講談社現代新書:岡本薫著)という本がる。日本のゆとり教育のおかしさを以下のような視点でまとめていて面白い。
ゆとり教育の実現は、「学ぶべき内容の削減」か「授業時数の増加」の二つの方法があり、行政施策としては、「教育内容の三割削減」を実施したが、授業時数も「土曜休業」・「総合的な学習の時間」の導入などにより結果的に時数減となり、ゆとりは全体として1割程度しか実現できていないと指摘している。
 小学校から英語を導入することは、結果的に上記の「授業時間数の増加」となり、中学で実施している内容を小学校5年からにすれば、大幅な時間数の増加として「ゆとり教育」の実現にもなる。これは、教育政策として大きなメリットとなるのではないか。

●小学英語から、出口までの英語指導の体系的な見直しのチャンス
 また先にあげた著書の中に、「学校教育の質を決定づける3要素」として
(1)カリキュラムの質
(2)教員の質
(3)スクールマネジメントの質

があげられている。とくに日本の教育政策上では、(3)が欠如していることを強調していて大変興味深い指摘となっている。英語教育については、(1)と(2)についてもまだまだだ。カリキュラムにしても、小学校での英語指導だけがクローズアップされているが、要は日本では、どういった英語力の実現を目標とするかを決定することがとても大切だ。それによって大学、高校、中学、小学校までのそれぞれの具体的な目標が決まってくる。しかし未だに部分的な議論にのみ終始しており、大局的な全体像を描くための議論になっていない。(2)の教員についても、本報告では、ALTと担任の指導が望ましいという報告がされているが、全国レベルでの実現は予算的にも不可能だろう。日本人の先生の質向上により十分に効果を発揮できるはずだと私は考える。残念ながら、公立学校でのこうしたスピード、議論の内容からすると、アジアの各国と日本の政策実行スピードの差が大きく、4〜5年後の英語力の国際比較の差が大きくなる事を心配してしまう。是非ともこれを契機に、大学までの全体の英語教育プランを上記3つの視点で再構築してもらいたいと思わずにいられない。
日本を滅ぼす教育論議 日本を滅ぼす教育論議
岡本 薫 (2006/01)
講談社

この商品の詳細を見る

テーマ: 英語・英会話学習 - ジャンル:学校・教育

コメント

会員制サービス

セレブ限定出張ホストサービス

高収入在宅バイト

愛あるメールをくださる方には日額30万円

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://edvec.blog57.fc2.com/tb.php/1-c944b302
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)